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2022.01.27

MAGAZINE

真冬の本当の美しさをみつけたとある日

自分ではない誰かの日常、その素敵な誰かの「とある日」をお届けする新コラム。
今回も前回に続き、フリーカメラマン nomotosachiさんに取材をさせて頂きました。

第二回は真冬の北海道で過ごしたお話。


「真冬の本当の美しさをみつけたとある日」

真冬の北海道旭川。
キャンパスの中のような真っ白な雪景色、ただただ白く美しい世界がそこにはありました。

北海道の真ん中にある旭川へ訪れたことがある方はいらっしゃいますか?
夏は気温が30℃にもなる旭川は、冬はマイナス20℃、その気温差は50℃にもなります。


2013年の冬、北海道の旭川に住み込みで働いていた友人を訪ねるため、山の中にあるカフェで数日過ごすことになりました。
周りには何もない自然が豊かに広がるそんな場所にカフェはあり、真っ白な雪景色の中は静かでまるで夢のなかに取り残されているような感覚でした。

3日間ほど滞在している中で、真っ白一色となった広大な土地の自然の美しさに目を奪われたことは忘れられませんが、
中でも心に残っている事は、友人やカフェのスタッフの方が作ってくれる料理が毎回とても美味しかったこと。

食いしん坊なわけではありませんが、料理たちがどれもキラキラと輝いているように見えました。

ミネストローネや焼きたてのパン、シフォンケーキ。その食事に強い幸福を感じたこと。
特有な冬の山の中、人気も少なく雪により不便もあるけれど、そこに人が集まればおいしくて温かい食事があり言葉には代えがたい幸せを感じることが出来たのです。

真っ白い世界の中に美しい料理が色とりどりに存在するようでした。

この瞬間を写真に収めたいと強く感じ、そこにあるひとやものの表情だけでなくそこにある空気感も一緒に写真に収めて絵本の挿絵のような写真を撮りたいと強く感じました。
それが今でも私の作風になっています。


10年程経ち、あの日感じた食事の美しさや温かさは母になり子どもたちに感じてほしい幸福感に似ていたように思います。
なかなか外に出れない時でも温かい食事と食卓を一緒に囲む人がいれば幸せなんだということを、母として子どもたちに体現していきたい。あの日過ごした大切な瞬間と、感じた特別な記憶は今でも心の片隅にしまっています。


インスタアカウント@nomotosachi

略歴 東京工芸大学芸術学部写真学科卒。
イイノメディアプロを経て2016年よりフリーランスカメラマンとして独立。広告や雑誌にて活動中。

HP http://nomotosachi.com